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まるでお人形みたいな、僕のお姫さま。
不思議な色の髪の毛はふわふわに波打っていて、不思議な色の瞳はびっくりして目を見開いた時なんて零れてしまいそうに大きいのにいつも伏し目がち。肌の色は真っ白。野球部のマネージャーなんてやってるのに、さぼってる訳でも無いのに紅葉みたいな手をしていて丸い爪は薄い薄い桜色。ちいさくってビスクドールみたい。とても愛らしいのに、いつだってどこか憂鬱そうな表情をしている。
一番の理解者はヌイグルミの猫神様とタロットカード。学校でも1・2位を争う不思議ちゃん。それが僕の彼女、猫湖檜ちゃん。
「檜ちゃん、かーえろっ!」
「うん…っ」
僕こと兎丸比乃は、なかなかの行動派だと自負している。猛アタックして、1週間前に「彼氏」の座を手にして以来積極的に一緒に帰るし、冷やかされたって檜ちゃんの恋人は自分であると公言して憚らない。檜ちゃんはおとなしいから幼稚な男子逹からは格好のからかいの的にされがちだけど、それも気付けば直ぐに笑顔で釘を刺すようにしている。悪い芽は早めに摘んでおかないとね。
「日誌があるから、ちょっと待ってて欲しいかも…」
「いいよー」
こうやって申し訳なさそうに少し上目遣いになるところなんて、すっごくかわいい。ごめんね、って言ってゆっくりだけど一生懸命今日の部活であった事を日誌に書き入れていく。シャーペンを置いてふうって一息ついて、間違いはないかもう一度最初から読み返している檜ちゃんを、僕はそのデスクに肘をついて眺めている。まつ毛、長いなぁ。
「終わった、かも…」
「じゃあ行こっ、先輩たちさよーなら!」
「お先に、失礼します」
ぺこり。ぱたぱたぱた。仕草の1つ1つまで誰かが作ったみたい。
いつもの調子でギャーギャーやってる兄ちゃん逹に手を振って2人で校門を潜る。一緒に帰るって言っても駅までだけど、放課後は部活ばかりの僕らにとっては大切なデート。今日も暑かったねぇ、とかそんな他愛もないことを僕が話して檜ちゃんがいつも頷く。たったそれだけだけどやっぱり皆が居るのと2人で居るのは違う。と、思う。
「…檜ちゃん、鞄重くない?」
いつも思っていたのだけれど、僕以上に小さい檜ちゃんが大きな猫神さまと通学鞄を持っているのはなんだかとても辛そうに見える。律儀に教科書をきちんと持って帰るから鞄はぱんぱんだし。僕なんて、全部部活用のバックに放り込んじゃうから教科書どころか鞄すら持っていない。
「大丈夫かも」
「持ってあげるよ?」
「へ、平気、だから…」
そんなことしたら比乃くんの方が重そうかも。なんて言うけど、曲がりなりにもスポーツマンなんだからそれなりに筋肉も付いてるんだけどなぁ。
「そんなにヤワじゃないよー」
檜ちゃんが右手に持っている鞄を肩にかけて代わりに手を繋ぐ。檜ちゃんの表情が緊張して、猫神さまを抱いている左手に力がこもったのがわかった。あー…、やっちゃったかも?
行動派を自称する僕ではあるけれど、実はまだ檜ちゃんには全然触っていない。押しに押してやっとOKしてもらったお付き合いだし檜ちゃんはいかにも“男子”に免疫無さそうだし、大切に大切にしようと思っていたし。いるし。一応、1週間の間少しは仲良くなれたかなぁと思ってのトライだったんだけど。
「…嫌だった?」
あぁ、俯いちゃった。どうしよう、手、放した方がいいのかな。でも実は檜ちゃんの手にも結構な力が入っていて、ビックリしちゃってだと…は、思うんだけど、無理に振りほどくのもなぁって言いながらほんとはちょっと役得?とか思ってる。そりゃあ僕だって多少の下心は否めないお年頃で折角の恋なら進展させたいと思うのが、人情で。
「…いやじゃ、ないかも…」
そこにこの一言は浮かれるのには充分の破壊力でしょう。
もう真っ赤で恥ずかしそうなのも、檜ちゃんはきっと必死だったんだろうけれど可愛くて可愛くて仕方なくなってしまう。これでも純情な高校生やってるんだから少しくらい有頂天でにやけてても許して欲しい。
そのまま駅まで一直線!に、走りだそうとして手を繋いでいる時間が勿体なくて足をゆっくり歩くスピードに切り替える。15分の道のりの間、僕らは何時も以上に饒舌で何時も以上に寡黙だった。
次の日になって、一部始終を見ていたらしい兄ちゃんにお前らどんだけ青春してるんだよと言われたのはまた別のお話。
+++
終わった!
実はOKした日から猫ちゃんの呼び方が兎丸くんから比乃くんに変わってたりすると超かわいいと思う。
兎猫は見た目がちっこくてかわいいよね!!
不思議な色の髪の毛はふわふわに波打っていて、不思議な色の瞳はびっくりして目を見開いた時なんて零れてしまいそうに大きいのにいつも伏し目がち。肌の色は真っ白。野球部のマネージャーなんてやってるのに、さぼってる訳でも無いのに紅葉みたいな手をしていて丸い爪は薄い薄い桜色。ちいさくってビスクドールみたい。とても愛らしいのに、いつだってどこか憂鬱そうな表情をしている。
一番の理解者はヌイグルミの猫神様とタロットカード。学校でも1・2位を争う不思議ちゃん。それが僕の彼女、猫湖檜ちゃん。
「檜ちゃん、かーえろっ!」
「うん…っ」
僕こと兎丸比乃は、なかなかの行動派だと自負している。猛アタックして、1週間前に「彼氏」の座を手にして以来積極的に一緒に帰るし、冷やかされたって檜ちゃんの恋人は自分であると公言して憚らない。檜ちゃんはおとなしいから幼稚な男子逹からは格好のからかいの的にされがちだけど、それも気付けば直ぐに笑顔で釘を刺すようにしている。悪い芽は早めに摘んでおかないとね。
「日誌があるから、ちょっと待ってて欲しいかも…」
「いいよー」
こうやって申し訳なさそうに少し上目遣いになるところなんて、すっごくかわいい。ごめんね、って言ってゆっくりだけど一生懸命今日の部活であった事を日誌に書き入れていく。シャーペンを置いてふうって一息ついて、間違いはないかもう一度最初から読み返している檜ちゃんを、僕はそのデスクに肘をついて眺めている。まつ毛、長いなぁ。
「終わった、かも…」
「じゃあ行こっ、先輩たちさよーなら!」
「お先に、失礼します」
ぺこり。ぱたぱたぱた。仕草の1つ1つまで誰かが作ったみたい。
いつもの調子でギャーギャーやってる兄ちゃん逹に手を振って2人で校門を潜る。一緒に帰るって言っても駅までだけど、放課後は部活ばかりの僕らにとっては大切なデート。今日も暑かったねぇ、とかそんな他愛もないことを僕が話して檜ちゃんがいつも頷く。たったそれだけだけどやっぱり皆が居るのと2人で居るのは違う。と、思う。
「…檜ちゃん、鞄重くない?」
いつも思っていたのだけれど、僕以上に小さい檜ちゃんが大きな猫神さまと通学鞄を持っているのはなんだかとても辛そうに見える。律儀に教科書をきちんと持って帰るから鞄はぱんぱんだし。僕なんて、全部部活用のバックに放り込んじゃうから教科書どころか鞄すら持っていない。
「大丈夫かも」
「持ってあげるよ?」
「へ、平気、だから…」
そんなことしたら比乃くんの方が重そうかも。なんて言うけど、曲がりなりにもスポーツマンなんだからそれなりに筋肉も付いてるんだけどなぁ。
「そんなにヤワじゃないよー」
檜ちゃんが右手に持っている鞄を肩にかけて代わりに手を繋ぐ。檜ちゃんの表情が緊張して、猫神さまを抱いている左手に力がこもったのがわかった。あー…、やっちゃったかも?
行動派を自称する僕ではあるけれど、実はまだ檜ちゃんには全然触っていない。押しに押してやっとOKしてもらったお付き合いだし檜ちゃんはいかにも“男子”に免疫無さそうだし、大切に大切にしようと思っていたし。いるし。一応、1週間の間少しは仲良くなれたかなぁと思ってのトライだったんだけど。
「…嫌だった?」
あぁ、俯いちゃった。どうしよう、手、放した方がいいのかな。でも実は檜ちゃんの手にも結構な力が入っていて、ビックリしちゃってだと…は、思うんだけど、無理に振りほどくのもなぁって言いながらほんとはちょっと役得?とか思ってる。そりゃあ僕だって多少の下心は否めないお年頃で折角の恋なら進展させたいと思うのが、人情で。
「…いやじゃ、ないかも…」
そこにこの一言は浮かれるのには充分の破壊力でしょう。
もう真っ赤で恥ずかしそうなのも、檜ちゃんはきっと必死だったんだろうけれど可愛くて可愛くて仕方なくなってしまう。これでも純情な高校生やってるんだから少しくらい有頂天でにやけてても許して欲しい。
そのまま駅まで一直線!に、走りだそうとして手を繋いでいる時間が勿体なくて足をゆっくり歩くスピードに切り替える。15分の道のりの間、僕らは何時も以上に饒舌で何時も以上に寡黙だった。
次の日になって、一部始終を見ていたらしい兄ちゃんにお前らどんだけ青春してるんだよと言われたのはまた別のお話。
+++
終わった!
実はOKした日から猫ちゃんの呼び方が兎丸くんから比乃くんに変わってたりすると超かわいいと思う。
兎猫は見た目がちっこくてかわいいよね!!
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…どうしてこの人はこんな所に居るんだろう。グラウンドの隅、バックネットの真ん前で大の字になって寝ているのは猿野さんだった。どうしてこんな所で寝ているのか、そういう自分もなんでこんな所に来ているんだろう。夏の大会も過ぎて、練習もない校庭に用事なんて無いのに。
暑そう…。
大分汗をかいている彼の寝顔を眺めながらその場に腰を下ろして膝を抱える。あぁ、夏だ…夏休み。私達の夏が幕を閉じても、まだ蝉は鳴いているしかき氷ののぼりは至る所にあるしプールや海には人が多いし。世間にはつい先日までの夏と今この今日の日射しに大した差は無いんだ、なぁ。小さな虚無感がぽつりと浮かんできて俯く。さっきの寝顔は悩みなんて何にもなさそうで──もちろんそんな事は無いことは、彼だって色んな悩みを抱えている事は知っているけれど──羨ましくなる。私もなんでもないって顔をしていたい。明るく笑ってられたらいいのに、そういうのが凄く下手で嫌になる。
「ん…、…、ん?あ!?」
がば、と突然起き上がった彼に驚いて顔を上げる。
「な…凪さん?」
「はい?」
「なんでこんなとこに…?」
「さぁ…なんででしょう」
自分でも良く分からないんですけど。そうやって微笑んだら、猿野さんは困った様に笑ってまー俺も大して理由無いんすけどね、と言った。
「空、青いっすねー」
「そうですね。」
会話はそれきり。ポリポリと頬をかいて彼は座り直す、私の背中に自分の背中を重ねる様に。くっついてもいないけれど大して隙間もない距離に心臓がどくんと鳴った。
私より少し体温の高い、この背中の熱さまで貴方なんだと思って、私はまた膝頭に顔を埋める。暑い。あつい。自分の鼓動ばかりが速いようで、それが切なくて恥ずかしくてなんだか居たたまれないような気持ちになってくる。このまま溶けて消えてしまいたい。沈黙を追いやる術を持たない私はただひたすら貴方が口を開くのを待つばかり。誰も居ないグラウンドは風も止んだまま他人の様に静かで、心音だけが自分の中でどんどん響いて膨らんで溢れていきそうで恐ろしくて。
「凪さん」
断ち切られた沈黙に、呼ばれた名前に私は再び顔を上げる。
「…はい」
私の声は震えては居なかっただろうか。何事もなかったように彼に届いただろうか。そんなのばっかり気にしてしまう。
「来年はちゃんと、…ちゃんと勝って、連れてきますから。」
泣きそうになる。貴方は、何時だって鮮やかでずるい。今年の余韻も抜けていない私に来年の希望はあまりにも眩しいのに、この人はもう前を向いている。嬉しくて、嬉しくて、でもちょっと遠くて、寂しい。だけどそれを言わせたのが自分なのだとしたら私ばかりぐずぐずしては居られないのだ。ね、と笑う彼に私はずっと頷いていた。
+++
すとれすはっさん!
やっと夏休みだよー今週は唯一の休みです!まぁがっこ行かんからってダラダラもしとられんのだけれど!!
ずっと書いてる兎猫より今日書き始めた猿鳥のが速く上がりました…猿←鳥っていうか鳥視点の猿→←鳥。
猿鳥の持ち味はひたすら濃い青春ぽさだと思うんだ。かゆいくらい苦笑するくらいの青春具合がかわいい。
暑そう…。
大分汗をかいている彼の寝顔を眺めながらその場に腰を下ろして膝を抱える。あぁ、夏だ…夏休み。私達の夏が幕を閉じても、まだ蝉は鳴いているしかき氷ののぼりは至る所にあるしプールや海には人が多いし。世間にはつい先日までの夏と今この今日の日射しに大した差は無いんだ、なぁ。小さな虚無感がぽつりと浮かんできて俯く。さっきの寝顔は悩みなんて何にもなさそうで──もちろんそんな事は無いことは、彼だって色んな悩みを抱えている事は知っているけれど──羨ましくなる。私もなんでもないって顔をしていたい。明るく笑ってられたらいいのに、そういうのが凄く下手で嫌になる。
「ん…、…、ん?あ!?」
がば、と突然起き上がった彼に驚いて顔を上げる。
「な…凪さん?」
「はい?」
「なんでこんなとこに…?」
「さぁ…なんででしょう」
自分でも良く分からないんですけど。そうやって微笑んだら、猿野さんは困った様に笑ってまー俺も大して理由無いんすけどね、と言った。
「空、青いっすねー」
「そうですね。」
会話はそれきり。ポリポリと頬をかいて彼は座り直す、私の背中に自分の背中を重ねる様に。くっついてもいないけれど大して隙間もない距離に心臓がどくんと鳴った。
私より少し体温の高い、この背中の熱さまで貴方なんだと思って、私はまた膝頭に顔を埋める。暑い。あつい。自分の鼓動ばかりが速いようで、それが切なくて恥ずかしくてなんだか居たたまれないような気持ちになってくる。このまま溶けて消えてしまいたい。沈黙を追いやる術を持たない私はただひたすら貴方が口を開くのを待つばかり。誰も居ないグラウンドは風も止んだまま他人の様に静かで、心音だけが自分の中でどんどん響いて膨らんで溢れていきそうで恐ろしくて。
「凪さん」
断ち切られた沈黙に、呼ばれた名前に私は再び顔を上げる。
「…はい」
私の声は震えては居なかっただろうか。何事もなかったように彼に届いただろうか。そんなのばっかり気にしてしまう。
「来年はちゃんと、…ちゃんと勝って、連れてきますから。」
泣きそうになる。貴方は、何時だって鮮やかでずるい。今年の余韻も抜けていない私に来年の希望はあまりにも眩しいのに、この人はもう前を向いている。嬉しくて、嬉しくて、でもちょっと遠くて、寂しい。だけどそれを言わせたのが自分なのだとしたら私ばかりぐずぐずしては居られないのだ。ね、と笑う彼に私はずっと頷いていた。
+++
すとれすはっさん!
やっと夏休みだよー今週は唯一の休みです!まぁがっこ行かんからってダラダラもしとられんのだけれど!!
ずっと書いてる兎猫より今日書き始めた猿鳥のが速く上がりました…猿←鳥っていうか鳥視点の猿→←鳥。
猿鳥の持ち味はひたすら濃い青春ぽさだと思うんだ。かゆいくらい苦笑するくらいの青春具合がかわいい。
俺たちがこうして血を注ぎ命を投げうって加担している、記録しているこの戦争ももしかしたら悪趣味な神サマの1人遊びなんじゃないかと思うことがある。たまに。
…あぁまったくもう、反吐が出る。
目が醒めた。
ぱち、と目を開けて首を巡らすと黒髪が波打って広がっていた。そうして胸元にミランダの体温を自覚する。いつもは冷たいくらいの手足をちぢこめて寝息を立てている彼女はとても温かくて、とてもあどけなく見えて愛らしかった。これ以上幸せな目覚めなんてないのに、シーツの上のミランダの髪を指で掬って額に頬を寄せて、いつもならその控えめなシャンプーの匂いだけでバラ色なのに。まだ窓の外は暗くて、空気は重苦しい灰色をしている。どこか凍っているように、鈍い。
今日に限って、あとどの位彼女とこうして居られるのだろうなんて。
そんなことは1人の暇な時にでも考えてればいいのに。今は折角こうしてミランダと居るのに。幸せに浸っていたいのに。もう一度眠ってしまおうと目を閉じてもどうにもならなくて、ミランダにしっかりと毛布をかけてからするりとベッドを抜け出した。
出窓の側に椅子を引き摺って、身を投げ出すように座る。考えるのは、最近の自分がどんどん感情に傾いていっている、こと。これではブックマンなんて夢のまた夢だ───なんて悠長な事は言っていられないのに。彼らに混じってここを“ホーム”と呼んでしまいそうな自分。いつかミランダに言われた一言が熱を持って膿んでいる。彼らのいつでも支え合うという仲間意識は見ている分には美しかったけれど、自分はその外に居たはずだった。
悪趣味な神様は命と兵器で大掛かりなチェスゲームをしている。記録を取り読み漁る度に思う。記録を取り続けるためには、そのチェスの外側に居なければならない筈だった。
視界の隅でミランダが身動ぎする。もぞもぞと何かを探す動きをして、ぼんやりと頭を持ち上げる。
「あぁなんだ、ラビ君…起きてたのね…」
この掠れた声で呼ばれる瞬間にはまだ慣れていない。
「おはよ」
おはよう、と言いながらも眠たそうに目を擦っている。
「眠いならまだ寝てるといいさ」
「ううん…いいの」
朝とはいえ、まだ早いし。窓の外はやっと白み出した頃。
そう思ったけれど、ミランダはあっさりと毛布を手放して立ち上がった。髪がぼさぼさなんて言いながら。俺に言わせれば、くるんと丸くハネているその髪なんてどうしようもなく可愛らしいのだけれど、本人はどうも気に入らないらしい。起きてからいつも必死でブラシと奮闘しているけれど、実はあんまり差が判らないというのは秘密。そんな事を窓枠に肘をついてぼんやり考えていたら、抱きしめられていた。抱きとめられていた?とにもかくにも不意討ちだ。
「…ミランダ?」
とても穏やかに目を閉じている愛しい人。
「こうやって確認したかったの。」
なのに、起きたらラビ君が見つからなかったから…どんどん声は小さくなって、聖母のごとき表情だったのが顔も赤くなって、何時ものように少したじろぎ出した。だけど、放してやんない。
ぎゅううっと抱き締めた体は相変わらず細い。
「折れそう」
「お…折れないわよ!」
「ちゃんと食べなきゃだめさぁ」
「ジュリーにも言われたし、ちゃんと食べてるもの…前に比べたら」
もう一度、ぎゅっと。
無くしたくないと思うのは、彼女と、ラビと、………。こんなに愛しいのに、50番目の自分なんて一生やって来なくていいと願ってしまえば、そこで失格。
ああやっぱり、神様はどこまで趣味が悪いのだろう。
+++
ずっと書きたくて放置してたラビミラネタが済んだので、次はリーバーさんに行きたいと思います。ほんとかっこいいんだよ!!リーバーさんかっこいいんだよ!!!
しかしあの、なんだ、神様の1人遊び、ってのが最初書きたくて、でも途中でブックマン云々が混じって50番目とか言い出して、話題が擦り代わってるのが…な。
…あぁまったくもう、反吐が出る。
目が醒めた。
ぱち、と目を開けて首を巡らすと黒髪が波打って広がっていた。そうして胸元にミランダの体温を自覚する。いつもは冷たいくらいの手足をちぢこめて寝息を立てている彼女はとても温かくて、とてもあどけなく見えて愛らしかった。これ以上幸せな目覚めなんてないのに、シーツの上のミランダの髪を指で掬って額に頬を寄せて、いつもならその控えめなシャンプーの匂いだけでバラ色なのに。まだ窓の外は暗くて、空気は重苦しい灰色をしている。どこか凍っているように、鈍い。
今日に限って、あとどの位彼女とこうして居られるのだろうなんて。
そんなことは1人の暇な時にでも考えてればいいのに。今は折角こうしてミランダと居るのに。幸せに浸っていたいのに。もう一度眠ってしまおうと目を閉じてもどうにもならなくて、ミランダにしっかりと毛布をかけてからするりとベッドを抜け出した。
出窓の側に椅子を引き摺って、身を投げ出すように座る。考えるのは、最近の自分がどんどん感情に傾いていっている、こと。これではブックマンなんて夢のまた夢だ───なんて悠長な事は言っていられないのに。彼らに混じってここを“ホーム”と呼んでしまいそうな自分。いつかミランダに言われた一言が熱を持って膿んでいる。彼らのいつでも支え合うという仲間意識は見ている分には美しかったけれど、自分はその外に居たはずだった。
悪趣味な神様は命と兵器で大掛かりなチェスゲームをしている。記録を取り読み漁る度に思う。記録を取り続けるためには、そのチェスの外側に居なければならない筈だった。
視界の隅でミランダが身動ぎする。もぞもぞと何かを探す動きをして、ぼんやりと頭を持ち上げる。
「あぁなんだ、ラビ君…起きてたのね…」
この掠れた声で呼ばれる瞬間にはまだ慣れていない。
「おはよ」
おはよう、と言いながらも眠たそうに目を擦っている。
「眠いならまだ寝てるといいさ」
「ううん…いいの」
朝とはいえ、まだ早いし。窓の外はやっと白み出した頃。
そう思ったけれど、ミランダはあっさりと毛布を手放して立ち上がった。髪がぼさぼさなんて言いながら。俺に言わせれば、くるんと丸くハネているその髪なんてどうしようもなく可愛らしいのだけれど、本人はどうも気に入らないらしい。起きてからいつも必死でブラシと奮闘しているけれど、実はあんまり差が判らないというのは秘密。そんな事を窓枠に肘をついてぼんやり考えていたら、抱きしめられていた。抱きとめられていた?とにもかくにも不意討ちだ。
「…ミランダ?」
とても穏やかに目を閉じている愛しい人。
「こうやって確認したかったの。」
なのに、起きたらラビ君が見つからなかったから…どんどん声は小さくなって、聖母のごとき表情だったのが顔も赤くなって、何時ものように少したじろぎ出した。だけど、放してやんない。
ぎゅううっと抱き締めた体は相変わらず細い。
「折れそう」
「お…折れないわよ!」
「ちゃんと食べなきゃだめさぁ」
「ジュリーにも言われたし、ちゃんと食べてるもの…前に比べたら」
もう一度、ぎゅっと。
無くしたくないと思うのは、彼女と、ラビと、………。こんなに愛しいのに、50番目の自分なんて一生やって来なくていいと願ってしまえば、そこで失格。
ああやっぱり、神様はどこまで趣味が悪いのだろう。
+++
ずっと書きたくて放置してたラビミラネタが済んだので、次はリーバーさんに行きたいと思います。ほんとかっこいいんだよ!!リーバーさんかっこいいんだよ!!!
しかしあの、なんだ、神様の1人遊び、ってのが最初書きたくて、でも途中でブックマン云々が混じって50番目とか言い出して、話題が擦り代わってるのが…な。
『…---だくん?いないのかな…それじゃ--かけ-よ』
留守電の粗い音声を繰り返し繰り返し―――飽きるんじゃないかってくらいに―――聞いている。あぁ、未練がましい。あたしらしくない。そんな言葉を反芻しては、泣きそうになった。
やたら育ちの良さ全開の話し方も、気付いたら隣りに来てあたしの腕をとろうとするところ、どんなにあたしがつっけんどんにしたって優しくて、毎回ムカついてたけどそれでもそんな行動のひとつひとつがたまらなく好きだった。
…どんだけ依存してたんだろう。電話に出て別れを切り出す、たったそれだけなのにたったそれだけが出来ない。あたしはいつの間にこんなに弱くなったのだろう?3年間はそんなに長かっただろうか。そこまで情熱的でドラマチックな恋をした覚えもないのに…こんなに、辛い。何気なく近いところに居過ぎたから?
「ヤツの行き過ぎたロマンチック演出の術中にでもハマった?」
…これでも冗談のつもりで呟いたのに笑えないし。
惨めで泣けて来る。自分が可哀想で泣くのが一番虚しい、とかどっかで聞いた気がするけどもう悲しいから泣けるのか自分への哀れみだとかのせいなのかなんてわからないしどうでもいい。ただ、あたしがバカだったのは確実だ。
声聞いたら泣くから、なんてもう泣いている。
電話しないのなんて単にあたしが踏ん切りが着かないから。今優しく諭されたらずるずる甘えるから。だけどきっとそれも言い訳で完全に繋がりがなくなるのが怖いだけ。別れる、なんて言ったらきっと悲しい顔して止めようとするけど、あいつは底抜けに優しいからケリが着いてしまえば「友達」に戻っちゃう。1回戻ったら忙しさに殺されて連絡なんてすぐ取れなくなっちゃう。こんな留守電が入る事もなくなる、きっとじゃなくて。
好きだったのだ。こんなにこんなに、あたしより高いところにあった肩も、寝顔の中に見えた幼さも、ぎゅってした時のあったかさも。本当に、好きだったのだ。
別れたいなんて思ったのとは裏腹に、こんなにあなたから離れたくないと願っている。
愛してる・愛してる・愛してる・愛してる
いつまであたしは留守電を待ってるんだろう。
いつになったら、この電話のアドレス帳から牛尾の名前が消えるだろう。
今はまだ、
+++
今更よりちょっと古い…ん、か?
悲恋牛柿。
留守電の粗い音声を繰り返し繰り返し―――飽きるんじゃないかってくらいに―――聞いている。あぁ、未練がましい。あたしらしくない。そんな言葉を反芻しては、泣きそうになった。
やたら育ちの良さ全開の話し方も、気付いたら隣りに来てあたしの腕をとろうとするところ、どんなにあたしがつっけんどんにしたって優しくて、毎回ムカついてたけどそれでもそんな行動のひとつひとつがたまらなく好きだった。
…どんだけ依存してたんだろう。電話に出て別れを切り出す、たったそれだけなのにたったそれだけが出来ない。あたしはいつの間にこんなに弱くなったのだろう?3年間はそんなに長かっただろうか。そこまで情熱的でドラマチックな恋をした覚えもないのに…こんなに、辛い。何気なく近いところに居過ぎたから?
「ヤツの行き過ぎたロマンチック演出の術中にでもハマった?」
…これでも冗談のつもりで呟いたのに笑えないし。
惨めで泣けて来る。自分が可哀想で泣くのが一番虚しい、とかどっかで聞いた気がするけどもう悲しいから泣けるのか自分への哀れみだとかのせいなのかなんてわからないしどうでもいい。ただ、あたしがバカだったのは確実だ。
声聞いたら泣くから、なんてもう泣いている。
電話しないのなんて単にあたしが踏ん切りが着かないから。今優しく諭されたらずるずる甘えるから。だけどきっとそれも言い訳で完全に繋がりがなくなるのが怖いだけ。別れる、なんて言ったらきっと悲しい顔して止めようとするけど、あいつは底抜けに優しいからケリが着いてしまえば「友達」に戻っちゃう。1回戻ったら忙しさに殺されて連絡なんてすぐ取れなくなっちゃう。こんな留守電が入る事もなくなる、きっとじゃなくて。
好きだったのだ。こんなにこんなに、あたしより高いところにあった肩も、寝顔の中に見えた幼さも、ぎゅってした時のあったかさも。本当に、好きだったのだ。
別れたいなんて思ったのとは裏腹に、こんなにあなたから離れたくないと願っている。
愛してる・愛してる・愛してる・愛してる
いつまであたしは留守電を待ってるんだろう。
いつになったら、この電話のアドレス帳から牛尾の名前が消えるだろう。
今はまだ、
+++
今更よりちょっと古い…ん、か?
悲恋牛柿。
「好きだよ」
「…はぁ。」
何というか、気が抜ける。何を今更…なんて言うと傲慢にも聞こえるんだろうけど、似たような事を日々散々言われている身からすればとても反応に困る。現在進行形で付き合っている恋人に告白されて、何と返せと言うのだろう。
「僕は、君のことが好きなんだ。」
「うん。で、だからなんと?」
少々冷たいかとも思うけれど、なんて考えはすぐに吹き飛んだ。
「君はどうなのかな?」
それが狙いかよこの自信過剰の己惚れ男、高校生男子に期待こもったうる目使われたって気持ち悪いだけだってば。
……それでも悲しいかな、あたしはこんな奴に惚れてしまったのだ。
「で、結局その後はどうしましたの?」
「話になんないから中庭に置いて来た」
牛尾くんに想われているというだけでも羨ましいのに日々好きだなんて言われた上中庭に放置だなんて、罰当たりですわ。夜摩狐の言い分は良くわからない。何の罰よ、牛尾の逆恨みかなんかい?そう言ったら横目で軽く睨まれた。
「逆恨みしてもらえるだけ愛されてるのだと自覚なさい!」
じゃあ1日入れ替わってみる?散々あんなこと言われたって疲れるだけだから。そうぼやけば軽くどころじゃない、敵意丸出しの眼差し。…一応親友と呼べる程度の間柄だと自負していたのはあたしだけ?
その日の昼休みは睨まれたまま終わった。怖すぎる。
全校の憧れの的の野球部キャプテン、その隣の彼女の座、よくあんなのに憧れるな、なんて『隣』に居るあたしが言うのは贅沢?
日々のあれは、要はあたしに好きだと言え、と。そーゆーことなんだろう。そんなのわかってるさ、でもはっきり言ってそんなことを言う気は無いの。
素直に教室から揃って部活に行く気にもならなくて、自販機でジュースを買って屋上にのぼった。もういっそサボるかなぁ、なんて思いつつ壁に身をもたれかからせれば、野球部の動きなんて嫌でも目に入ってくる。別に、嫌でもないけど。
真面目にトンボかけて部員を集めて指示を出して、自分も部員と同じだけ、動いて。みんな当たり前だと思ってるマネージャーの仕事にまで気をまわして。
それがいわゆるもてる秘訣?手摺にひじをついてぼーっと眺めてたら目が合った気がするけど事実上シカトした。
別にあいつは無傷の万能選手なんかじゃない。努力の跡も知らないでただ騒ぐだけのあんたたちと一緒にされたくない。
これはただの、わがまま。
だけどもがいてるあいつを知ってても多分あたしはあいつのことが好きだっていうの、は、自惚れ?
「好きだなんて何度も何度も言ってやるわけないだろ!」
余裕綽々って顔でグラウンド走ってるあいつがむかついたから、屋上から怒鳴ってやった。せめて、これが告白なんか一回でいいって考えのあたしの精一杯の譲歩。
…あ、笑って手なんか振ってる。余計むかつく。手元の空き缶でも投げつけてやろうかしら?
譲ってやるんじゃなかった、とか思ったってさ。あたしはこんな奴に惚れてしまったのだ。結局、こういうのは惚れたほうが負けるのよ。
後輩と一緒にくすくす笑ってる夜摩弧にガキっぽいとは知りつつべーっと舌を出して、ドリンクを作るために階段を駆け下りた。
+++
中2?3?で書いた話。うわーうわー
ちょっとだけ手直ししたけどほとんどそのまんま。
惚れたが負けっていうのは いつだって牛が思ってることです
「…はぁ。」
何というか、気が抜ける。何を今更…なんて言うと傲慢にも聞こえるんだろうけど、似たような事を日々散々言われている身からすればとても反応に困る。現在進行形で付き合っている恋人に告白されて、何と返せと言うのだろう。
「僕は、君のことが好きなんだ。」
「うん。で、だからなんと?」
少々冷たいかとも思うけれど、なんて考えはすぐに吹き飛んだ。
「君はどうなのかな?」
それが狙いかよこの自信過剰の己惚れ男、高校生男子に期待こもったうる目使われたって気持ち悪いだけだってば。
……それでも悲しいかな、あたしはこんな奴に惚れてしまったのだ。
「で、結局その後はどうしましたの?」
「話になんないから中庭に置いて来た」
牛尾くんに想われているというだけでも羨ましいのに日々好きだなんて言われた上中庭に放置だなんて、罰当たりですわ。夜摩狐の言い分は良くわからない。何の罰よ、牛尾の逆恨みかなんかい?そう言ったら横目で軽く睨まれた。
「逆恨みしてもらえるだけ愛されてるのだと自覚なさい!」
じゃあ1日入れ替わってみる?散々あんなこと言われたって疲れるだけだから。そうぼやけば軽くどころじゃない、敵意丸出しの眼差し。…一応親友と呼べる程度の間柄だと自負していたのはあたしだけ?
その日の昼休みは睨まれたまま終わった。怖すぎる。
全校の憧れの的の野球部キャプテン、その隣の彼女の座、よくあんなのに憧れるな、なんて『隣』に居るあたしが言うのは贅沢?
日々のあれは、要はあたしに好きだと言え、と。そーゆーことなんだろう。そんなのわかってるさ、でもはっきり言ってそんなことを言う気は無いの。
素直に教室から揃って部活に行く気にもならなくて、自販機でジュースを買って屋上にのぼった。もういっそサボるかなぁ、なんて思いつつ壁に身をもたれかからせれば、野球部の動きなんて嫌でも目に入ってくる。別に、嫌でもないけど。
真面目にトンボかけて部員を集めて指示を出して、自分も部員と同じだけ、動いて。みんな当たり前だと思ってるマネージャーの仕事にまで気をまわして。
それがいわゆるもてる秘訣?手摺にひじをついてぼーっと眺めてたら目が合った気がするけど事実上シカトした。
別にあいつは無傷の万能選手なんかじゃない。努力の跡も知らないでただ騒ぐだけのあんたたちと一緒にされたくない。
これはただの、わがまま。
だけどもがいてるあいつを知ってても多分あたしはあいつのことが好きだっていうの、は、自惚れ?
「好きだなんて何度も何度も言ってやるわけないだろ!」
余裕綽々って顔でグラウンド走ってるあいつがむかついたから、屋上から怒鳴ってやった。せめて、これが告白なんか一回でいいって考えのあたしの精一杯の譲歩。
…あ、笑って手なんか振ってる。余計むかつく。手元の空き缶でも投げつけてやろうかしら?
譲ってやるんじゃなかった、とか思ったってさ。あたしはこんな奴に惚れてしまったのだ。結局、こういうのは惚れたほうが負けるのよ。
後輩と一緒にくすくす笑ってる夜摩弧にガキっぽいとは知りつつべーっと舌を出して、ドリンクを作るために階段を駆け下りた。
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中2?3?で書いた話。うわーうわー
ちょっとだけ手直ししたけどほとんどそのまんま。
惚れたが負けっていうのは いつだって牛が思ってることです