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俺、は。
俺はきっと生涯忘れないのに。ほの青く肌に落ちた睫毛の影を、固く結ばれた唇の形を。俺はきっと。
「…重い」
「起きて一発目がそれかよ」
目も開けずに言ったセブルスは、俺の声を聞いて煩わしそうにこちらを見た。
「暑苦しい」
「なんだと」
改めて腕の力を込めると軽く腹を殴られた。ひっでェの。仮にも恋人だっつーのに。
「…おい」
「……」
「………今朝はおかしいぞ、お前。いや、お前が可笑しいのは今に始まったことではないが──…」
何を泣いていたんだ。
目尻が濡れていたのを見つけて指が伸びてくる。瞼を伏せると、その上に口付けが降ってきた。泣いていない、と返すと嘘を吐くなと言われた。嘘じゃない。泣く前に、お前が起きた。大体もう昼過ぎてるっつーの。
「ブラック?」
冷たい手が、宥めるように俺の髪を撫でた。俺の持っているものの中で唯一彼と同じ色の黒い髪。彼のものよりも少し硬い、俺の黒髪。
斜陽が色付いてセブルスの頬の上を薔薇色に染めるまで、ずっとこうしていようと決めた。
BGM:SO YOUNG/THE YELLOW MONKEY
+ + +
イメージは若くふつくしい頃の犬猫。
能天気な救世主の声に一歩体を退かせる。あぁ、興ざめだ。棚の陰からヒーローが顔を覗かせ、僕の姿に表情を険しくした。
「マルフォイ…ハーマイオニーに何したんだ」
彼はグレンジャーが顔を赤くして俯いているのが気に入らなかったらしい。
「僕が何をしようとお前には関係ない、ポッター」
「ハーマイオニーに何かしたんだろう?友達に無関心で居ろって!」
「喚くなよ、ここが何処だか分かってるのか?」
不愉快だ。いつもの様に皮肉気に鼻で笑って、完璧な見下した声を出す。
「図書室では静かにするのが常識だってマダム・ピンスに注意されたばかりじゃないのか?あぁ、『奇跡の男の子』には世の中のルールなんて守るまでもないか」
「なんっ…」
英雄は単純で気が短い。胸ぐらを掴もうと伸ばされた腕を避けると呪わんばかりに睨み付けるその鮮やかな緑。
「いいから、ハリー」
だんまりだったグレンジャーが口を開く。そうして、僕の顔を見上げた。
「いいから、もう行って」
片眉をぴくりと上げて応じる。グリフィンドールの才女はハリー・ポッターを庇ったようだった。
「言われずとも、僕だってそんなに君たちの顔ばかり見ていられる程暇じゃないさ」
彼女とその英雄を一瞥してから、僕はその場を離れた。
そう、まるでドラコ・マルフォイとの不毛なやりとりからハリーを救い出すように。
「いいから、もう行って」
「言われずとも、僕だってそんなに君たちの顔ばかり見ていられる程暇じゃないさ」
彼はせせら笑う様にこちらを見て、踵を帰した。あの似合い過ぎる笑いは好きじゃない。
「大丈夫?」
「えぇ…何でもない」
本当は本当に何でもなかったのだけれど、その取り合わせが私と彼では何でもないように見えないのは承知していた。蛇寮のマルフォイと獅子寮のポッターの仲が思わしくないのは周知の事実で私はそのハリー・ポッターの友人の1人なのだから。
「何でもないわ。」
平気な顔をして微笑むとハリーはほっとしたように、だけど不安気に微笑み返した。
「何か有るんなら何時でも言って。すぐに、行くから」
「ありがとう」
だけどマルフォイはそんなに悪い人間でもないのよ、とは言えなかった。あの冷たい笑みの中に苦いものが混じっていたなんて悟られる訳にはいかない、きっと。
私が頬を染めて俯いた訳を、この図書室の隅で交わした口づけを知られてはいけない。何人にも。少なくとも、今は。
+++
ごめんなさい ハリ好きさんごめんなさい
そしてドラコとハー子の会瀬にごめんなさい
我が家のハリーはKYです。
しっかし、自分のタイトルセンスの無さ…
貞操観念や倫理観なんて考える間もなく、誘惑に弱いぼくら子羊はこの遊びに堕ちてしまった。
「ジョージ」
どっちかに、或いはお互いにガールフレンドが居る間も居ない間もさして変わらない。既に日常になっている。軽く、目眩。
「ジョージ?何考えてんの?」
あぁ、大したことないよ
「大したことないなら、今は忘れろよ」
…ん…
今日はあまりばか正直に溺れられる気分じゃない。気分じゃないけど、これ以上うわの空だとフレッドが機嫌を悪くするから───まあなんて都合のいい言い訳。
質が悪いのは僕が本気だって事さ、最初から。相棒がノって来だすとおふざけは段々と歯止めが利かなくなり、今じゃこの様だ。
所謂心が得られないなら身体だけでも、ってやつ。フレッドを縛りつけたかった訳じゃない、だから今もあいつは彼女持ちだし、僕もそれにとやかく言うつもりもない。ましてやその彼女に自分達の関係を吹き込む気も。ただ繋がりたかっただけだった。だけどこんなに中毒性が強いもんだなんて思いもしなかった。
貞操観念も倫理観も今更遅い。僕を苛みはしてもブレーキにはならない。こんなの早く終わらせた方がフレッドの為だって、解りきって、いるのに。
「僕が実は男が好きだって言ったら、どうする?ロン」
「…ふぇっ」
愛すべき弟は、一拍遅れてからマシュマロを目一杯頬張った間抜け面でこちらを振り返った。クスクスと笑うと、カッと顔を染めて睨む。
「本気だと思った?ロニー坊や」
今にも叫び出しそうなロンを置いてキッチンを出て、玄関を通り庭へ出る。日溜まりもあまり僕の心を癒してはくれなかった。ああ本気さ、本気だとも。ロンだってあんな顔をするんだ、本人になんて知れてみろ。フラれるなんて簡単な結末ならいいけどフレッドに嫌悪なんかされたら、それこそ死んでしまう。両親を悲しませたくもないし、兄弟にだってもちろん軽蔑されたくない。パーシーなんて特に頭が固いからまたたくまに言葉で叩き潰されてしまうに違いない。
こんな事なら、双子なんかじゃなきゃ良かったんだ。
生まれてきたのがフレッド1人なら、もしくは僕だけだったら、こんな事にはならなかったのに。フレッドも僕も、こんなの知らないまま普通にガールフレンドを作って普通に結婚しただろう。
…今だってガールフレンドは居るさ、だけど僕なんて殆んど偽装工作だ。フレッドは違うけど。あいつは幸せな家庭を持てばいい。でも僕は…その家庭を微笑ましく見る覚悟は出来ていても、自分が他の誰かと幸せに過ごしている様子が上手く想像出来ない。
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なんか、凄く、B L を 書 い た ぞ って 気分 (^ω^)
さーて シリセブもドラハもロンパンも ラビミラも ヤスタニャもロイアイも書きかけで放置プレイ中なんだが^^^^^^←
ラビミラは微妙に微妙に書き進めつつある。あとヤスタニャも今から勢いで書き上げる、…つもり。
「……。…パンジー、それ」
「何よ、おかしい?」
ぽかんと口を開けて呆けているロンににっこりと首を傾けて見せると、彼はブンブンと音がしそうな程に頭を左右に振った。
「いや、うん、あー…、いいと思うよ、そういうのも。」
「ふふ、うれしい」
どうやらお世辞じゃないから。そばかす顔が、ほんのり赤くなっているのを彼女は見逃さない。
「だけどこれ、どうやって」
「私達、ここで何を習ってるの?マグルみたいな事言わないで頂戴」
この日の為に2週間かけて作り上げた魔法薬の効果は完璧だ。普段は肩に触れない程の長さに揃えられている髪が、今日は緩く巻かれて胸の下程までゆったりと流れている。白い細身のロングドレスに、豊かな黒髪が映えない訳がない。
シャンパンを傾ける素振りをしながらちらりをこちらを伺う視線に、殊更機嫌を良くしてパンジーは微笑んだ。ロンは素直に思った通りの反応をしてくれるから好きだ。ドラコは大抵、似合ってるよで済ませるだけだったけど。逆にドラコがどんな細かいお洒落にも気付いてくれたのに対してロンは女心に余りにも鈍感で、たまに喧嘩もするけど。…こんな風にドラコと比べたりしたら、いつも怒るのだけれど。それも妬いてるんだわ、なんて思うとくすぐったい。
成績優秀で見目麗しくかのマルフォイ家の御曹司、なんていうドラコはスリザリンでは謂わば“王子様”だ。気安く彼の腕を組んで、べったりと寄りかかりながら高い声を作って笑って居た頃の私はきっと王子様の彼女という立場が誇らしいばかりだったのだ。勿論、彼に憧れて慕っていたのは事実だし、まさかドラコがあのグレンジャーを選んだなんて知ったときは打ちひしがれてしまったけれど。
「き…綺麗、だよ」
「えっ?」
「…聞いてなかったんなら、いい…」
ぼそぼそと呟いたロンをまじまじと見つめると、何だよ、と真っ赤な顔で不機嫌そうな表情を作ってみせた。聞かなかった訳じゃない。あんなの聞き逃す訳がないじゃない。だけどあんまりにも不意討ちで、本当、舞い上がってしまう。
「ねぇ何よ、もう一回言って」
「何でもないよ!」
「何でもなくないわ、女の子にとってみればこんなに大切なことって無いのよ!ね、ちゃんと聞こえる様に言って。」
ロンは小さく唸りながら明後日の方向にチラチラと視線をさ迷わせて、目の前のパンジーを見ては慌ててまたあらぬ方を向いてしまう。パンジーが焦れて腕を掴むと目に見えてビクンとしてから、おずおずと彼女に向き直った。暫くえーとかうーとか言っていたけれど、とうとう腹を決めたのか彼女の耳元に口を寄せて言う。
「綺麗だよ、パンジー。」
囁くくらいの声だったけれど、うれしくてたまらない。この一言の為に2週間を費やしたのだ、だけどいざ言われてしまうと今度こそ舞い上がってしまった。
思わずギュッと抱き締めると、ロンが硬直したのが分かった。でも、そんなの気にしない。彼を解放すると、パンジーはその場でくるりと一回転する。髪とドレスの裾がふわんと翻って、彼女は一層幸せそうに見えた。ふふ、とまた笑んでから、テーブルの上にあったグラスに口をつける。ロンは自分がそれに見惚れていた事に気付いて、そっぽを向いてしまった。
「ミス・パーキンソン」
「はい?」
声を掛けてきたのはスリザリンの男子生徒だった。
「貴女のその左手、僕に預けてはもらえませんか?」
ダンスの誘いだ。途端に後ろでロンがぐりんっと振り返った気配がして、パンジーは微笑んだ。それを是と見たのか声をかけた彼はパンジーの手を取ろうと腕を伸ばしたのだけれど、彼女はそれをするりと避けて振り替えるとロンの腕に絡めてしまった。
「残念ながらパートナーは居るの。ね、ロニィ」
その胸にしなだれかかって、ごめんなさいねと言うと微かに不服そうに赤毛のグリフィンドール生を睨みながら行ってしまった。
ロンはと言うと、やっと冷めかけていた頬をまたその髪の様に真っ赤に染めて俯いていた。普段使うと不機嫌になるその愛称を甘えながら使うと大抵、こうなる。
「……。」
後ろから、パンジーの肩を抱き締めて髪に鼻先を埋める。
「パンジーが、そんなに張り切るから、あんなのが寄ってくるんだ」
「誰のためだと思ってるのよ、ロニー」
「そういうの、何でもないように言うから、ズルい」
ぐりぐりと頭を押し付けて。
パンジーは周りから飛んでくる視線に彼は何で気付かないんだろうと、そして気付いた半分全てをパンジーのせいだと思い込んでいるロンに苦笑を漏らした。ハリー・ポッターの一番の友人、グリフィンドールのクィディッチ代表チームに所属する燃える赤毛のロナルド・ウィーズリー。真新しく見えるドレスローブに身を包んだ背の高い彼を熱っぽく見つめている少女は1人や2人じゃないのに。大広間で、こんなに目立っていることに気を配りもせずに。
「ね、踊りましょうよ。ダンスパーティに来て1曲も踊らないなんてばかみたいだわ」
そう言うと、彼は彼女の頬に小さなキスを落としてから大きな輪の中へ手を引いて行く。ロンは特別ダンスが上手い訳ではなかったけれど取り立てて下手でもなかったし、パンジーはリードされ慣れていたから2人の様子はとても絵になった。ちょっとした羨望の目を連れてくるくると踊る2人は、誰からも幸せそうに見えた。
+++
ロン×パンジー。現在全力で推し。
パンジーは黒髪スレンダー美人だと思っているので赤毛で背の高いロンとお似合いでない筈がないのです。私的に。
「ふざけるな…っ」
青ざめた顔で震えながら凄まれたって何の迫力もないどころか煽るだけだと、こいつはちっとも学習しない。
「ふざけてねーよ」
無表情で言った俺の台詞にびくりと肩を戦慄かせて、それでもひたと睨み付けてくるその目。本当はこんな顔をさせたい訳じゃないのに。
…他の男に…あのスリザリン寮の監督生、ルシウス・マルフォイ。何を話してたんだか知らないが、嬉しげに薄く頬を染めるスネイプといつも暗い顔の奴からそんな反応を引き出すマルフォイが見ていてムカついてたまらなかった。マルフォイが、俺の目に気付いて薄く笑んだことも。
好きな相手にキスをしたいのは普通のことだろうと、思う。だけど俺に限って言えばこいつは絶対にそんな解釈なんてしない。悪意を持って、自分の気分を踏みにじるためのキスだと。微かな怯えに、嫌悪と屈辱と卑下がない交ぜになったその表情がどんなに俺を追い込んで苛んでいるかなんてお前は知らない。傷付いているのは自分だけだと思っている。…思い込ませたのはきっと、俺やジェームズだけど。
嫌われたい訳じゃない。嫌われたい筈もない。好きだなんて、それもスリザリンのスネイプになんて口が裂けても言えない俺は親友達に便乗して無闇にちょっかいをかけるばかりで、その度お前が冷たい顔をするのが痛いくせに繰り返し繰り返し。そういう幼稚なやり方でしかお前に“シリウス・ブラック”を認識させられない事実に腹が立つ。
憎みきっているこの体の中の血筋通りスリザリンに配されていたのなら接し方なんて全く違っただろう。気の合う同士と肩を並べて居たかもしれないし、寧ろ何の興味も持たない同士と必要以上の会話なんて無かったかもしれない。必要会話が無いから喧嘩を売るなんて、そんな馬鹿らしいこと、無かったに違いない。
本当は慈しむ手付きでその髪を撫でてやりたい。些細な冗談で笑わせてやりたい。優しく抱きしめて、望む時に望むキスを与えてやりたい、けど。スネイプも俺もそんなやり取りを許す筈がないのだ。
「どこまで、僕を」
最後まで言わずに俺の肩を押して壁についた腕の中からするりと抜けて。
「僕を貶めれば気が済むんだ、ブラック」
俺が望む柔らかいキスをその唇に落とせる日なんて来ない。だから、こうして追い詰めた人影の無い回廊の柱の陰で無理矢理に悪意のキスを押し付けたのだ。愛しくて恋しくての行動じゃない。愛しいから、触れさせないあいつと触れられない自分が憎くて。
どうせこの感触も明日には無いことになっているんだと思った。
+++
シリセブ!
だいすきです。